
にんにくの底力
にんにくは、古代エジプトのピラミッドを作る為の労働者達も常食していました。
日本でも古代からにんにくは、不浄、悪疫退散用として、重要な存在であったものと思われます。
「万葉集」には、食用としても酢醤油ににんにくをすりおろし、刺身のたれにして食べる様子が詩に詠まれていて、寒さ、暑さに強く、栽培が容易な上、貯蔵性も高い作物です。

特有の臭みは、アリンというアミノ酸がすりつぶされる事によってアリシンに変化するためです。
抗菌作用の源はこのアリシンで、ビタミンB1と結びついてB1より効力のあるアリチアミンになり、ビタミンB1だけより腸からの吸収が良く持続性もあります。
アリチアミンを多くするには、にんにくを摺りおろすか細かく刻んだり潰したりします。
✓ おでき治療の妙薬ににんにく
にんにくを摺り潰して麻の油でこね、おできの上に貼る方法と、にんにく灸にしておできを治療する方法があります。
✓ がん予防ににんにく
にんにくの成分の中に有機ゲルマニウムがあり、生物の生存に欠かせない酵素を運ぶ働きをし、尿と一緒に全部排出されるので副作用などの害がありません。ゲルマニウムは、体内で臓器中の有害重金属の除去、肝機能障害や悪性腫瘍の予防に役立ちます。
にんにくを食用するとき、摂り過ぎはよくありませんので摂取量に気をつけましょう。
摂り過ぎると、にんにく精油の溶血作用により、血液中の色素ヘモグロビンを溶かし貧血を起こすこともあります。
✓ 胃腸を助けるにんにく
にんにくの臭気の強いアリシンは、タンパク質と結合して消化し易くし、肉料理などににんにくを使うと、肉の臭みを消すだけでなく、消化も助けてくれます。また、アリシンは胃や腸の粘膜を刺激して消化酵素の分泌を促す作用もあります。
✓ 肝臓機能の強化ににんにく
にんにくには、体内の脂肪と糖質の消化、吸収を調節する働きがあり、アリシンは消化酵素の分泌を促し、さらに胆汁の分泌と排泄を促進するので肝臓の働きを強めます。
✓ 結核の治療ににんにく
にんにく臭の強いアリシンは水溶性で、脂溶性でもあるので結核菌の病巣をとりまいている脂質を容易に突破して、強い抗菌力で結核菌を一掃します。消化吸収を良くして栄養分の循環を改善するので消耗性結核などには期待できます。
✓ 肩こり腰痛ににんにく
にんにく灸は、皮膚を通してアリシンが体内に浸透して体を温め肩こりや腰痛にも期待できます。
✓ 痔の治療に期待できるにんにく
にんにくを加熱してしぼった汁、または摺りおろしたものを水で2~3倍に薄めた液で患部に塗ると、アリシンの殺菌作用で切り口を消毒し痔にも期待できます。
✓ 神経痛に効果が期待できるにんにく
にんにくの成分のスコルヂニンの有効成分が働いて、神経組織の新陳代謝を促進したり、末梢血管にも作用するので全身の血液循環を改善して痛みを柔らげます。また、アリシンはビタミンB1と結合して、より強いB1効力を持つアリチアミンとなって筋肉自体に作用しますので神経痛や筋肉病を和らげます。
✓ 水虫に効果が期待できるにんにく
にんにくの摺りおろしか、うす切りにしたものを患部に当てます。刺激が強すぎる時は、しぼり汁を薄めた液を塗っても効果が期待できます。
✓ 蓄膿症に効果が期待できるにんにく
にんにくをおろし、布に塗布して土ふまずに貼り付け、30分程そのままにしておきます。
これを毎日続けると蓄膿症の改善に効果が期待できます。
✓ 動脈硬化の予防ににんにく
にんにくは、血中の悪玉コレステロール(LDL)を減らし善玉コレステロール(HDL)を正常に保つ働きをするので、血栓が出来るのを改善します。
✓ 発毛に効果が期待できるにんにく
にんにくの絞り汁をつけて、マッサージを繰り返すと発毛効果が期待できます。この絞り汁は、他に、いんきん、たむし、切り傷にも応用できます。
✓ 疲労回復に効果が期待できるにんにく
にんにく臭の素、アリシンは腸から吸収するB1の量を10倍~20倍も高めることができます。
また、腸内でのB1分解酵素アリナーゼの影響を受けにくく、組織との親和性が高くより多くのB1効果を上げることができます。
ビタミンB1が不足すると体内の糖質の分解が不充分になり、ピルビン酸や乳酸が溜まって疲労感やだるさを覚えるようになり、怒りっぽくなり、食欲不振や体重減少につながります。
✓ 百日せきに効果が期待できるにんにく
にんにくを潰して湯ざましを加え、半日ほど放置しておいた汁を絞り茶さじ一杯ずつ数時間毎に飲むと百日せきに効果が期待できます。
✓ 不眠症、冷え症に効果が期待できるにんにく
にんにくの成分スコルヂニンが、体内に取り込まれた栄養分を完全に燃焼してエネルギーに転換し、新陳代謝を改善して血行を良くし、疲労回復を助けます。これらの作用で冷え症も改善され、体が暖まるようになるので自然に眠りに入れます。
✓ 風邪の回復ににんにく
にんにく臭の強いアリシンは、抗菌作用が強く風邪や扁桃炎、気管支炎の原因になる連鎖菌やブドウ球菌にも抗菌力を発揮します。無臭の成分スコルヂニンが痰の切れを良くし呼吸を楽にします。また、強壮作用によって体力がつき回復を早めます。
✓ 便通を改善するにんにく
にんにくの無臭の成分スコルヂニンは、消化、吸収を促進させ、アリシンはアリチアミンとなって胃腸の粘膜を刺激して、胃腸の働きを良くし便通を改善します。